普通借家と定期借家の違い|オーナーが必ず知るべき更新・解約・正当事由のルール

普通借家と定期借家の違い

普通借家と定期借家の違い|オーナーが必ず知るべき更新・解約・正当事由のルール

公開2026.11.02約6分で読めます
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日本で部屋を貸すとき、契約には「普通借家」と「定期借家」の2種類があります。どちらで貸すかによって、期間が終わったときに部屋が戻ってくるかどうかが大きく変わります。「2年契約だから2年後には返してもらえる」と思っていたら、普通借家では原則として返してもらえません。オーナーが必ず知っておきたい違いを、借地借家法の条文に沿って整理しました。

この記事のポイント

  • 普通借家期間が終わっても原則更新。貸主から終わらせるには「正当事由」が必要
  • 定期借家期間満了で確定的に終了。更新はなく、続けるなら双方の合意で「再契約」
  • 定期借家の条件書面(電子可)で契約し、契約前に「更新がない」ことを別の書面で説明。怠ると普通借家になる
  • 使い分け転勤中の自宅、売却・建替え予定、期間を区切りたいなら定期借家が向いている

ひと目でわかる比較表

項目普通借家定期借家
契約の方法口頭でも成立(実務は書面)書面が必須(電子契約も可)
契約前の説明重要事項説明のみ「更新がなく期間満了で終了する」ことを契約書とは別の書面で説明
期間1年未満は「期間の定めがない」扱い1年未満も可。上限なし
期間満了時原則更新(通知がなければ法定更新)終了(続けるなら再契約)
貸主から終わらせる正当事由+満了の1年前〜6か月前に通知期間1年以上は満了の1年前〜6か月前に終了通知
借主の中途解約契約の定めによる(例:1か月前予告)居住用200㎡未満は、やむを得ない事情があれば1か月で終了。ほかは特約による
家賃の増減請求可。「減額しない」特約は無効賃料改定の特約があれば、その定めが優先
更新料契約で定めれば受け取れるなし(再契約の費用は約定)
根拠:借地借家法第26条〜第29条・第32条・第38条 ※1

普通借家:「返してもらえない」のが原則

普通借家では、期間が満了しても、貸主が満了の1年前から6か月前までに「更新しない」と通知しなければ、同じ条件で更新したものとみなされます(法定更新。以後は期間の定めがない契約)。※1

しかも貸主の更新拒絶や解約の申入れは、正当事由がなければできません。正当事由は、次のような事情を総合して判断されます。※1 ※2

  • 貸主・借主それぞれが建物を使う必要性
  • これまでの賃貸借の経過(家賃の支払い状況など)
  • 建物の利用状況と現況(老朽化の程度など)
  • 立退料など、貸主が明渡しと引換えに財産上の給付を申し出たかどうか

「自分が住みたくなった」「高く売りたい」だけでは正当事由として認められにくく、立退料の支払いが必要になるケースも多くあります。

普通借家のそのほかのルール

  • 期間を1年未満で決めても、「期間の定めがない」契約とみなされる(第29条)
  • 期間の定めがない契約を貸主から解約するときも正当事由が必要で、申入れから6か月で終了(第27条・第28条)
  • 家賃が不相当になれば、双方が増減を請求できる。「一定期間増額しない」特約は有効だが、「減額しない」特約は効力がない(第32条)
  • これらの規定に反する特約で借主に不利なものは無効(第30条)

定期借家:期間が来れば確実に終わる

定期借家(定期建物賃貸借)は、契約で定めた期間が満了すると、更新されることなく確定的に終了する契約です。2000年3月に始まった制度で、国土交通省も「賃貸借の期間が明確になり、貸しやすい」と案内しています。※1 ※3

定期借家にするための3つの条件

  1. 書面で契約する:「契約の更新がない」ことを定めた書面(公正証書でなくてもよい。電子契約も可)
  2. 契約の前に、別の書面で説明する:「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを書いた、契約書とは別の書面を交付して説明する(借主の承諾があれば電磁的方法も可)
  3. 説明をしないと普通借家になる:事前説明がなければ「更新がない」旨の定めは無効

事前説明の書面は「契約書とは別個独立の書面」であることが必要と、最高裁判所も判断しています(2012年9月13日判決)。契約書の条文に書いてあるだけでは足りません。

期間満了前の「終了通知」を忘れない

期間が1年以上の定期借家では、満了の1年前から6か月前までに「期間の満了で終了する」ことを借主に通知しなければ、終了を借主に主張できません。通知が遅れた場合は、通知した日から6か月を経過すれば終了を主張できます。※1

借主からの中途解約

居住用で床面積200㎡未満の定期借家は、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情で住み続けられなくなったとき、借主は解約を申し入れることができ、1か月後に終了します。この権利を奪う特約は無効です。それ以外の中途解約(自己都合など)を認めるかどうかは、契約の特約で決めます。※1

どちらで貸すべき? 使い分けの目安

こんなオーナーにはおすすめ理由
転勤・海外赴任中だけ自宅を貸したい定期借家戻る時期に合わせて期間を決められる
数年後に売却・建替え・自己使用の予定がある定期借家正当事由や立退料の交渉が要らない
入居者との関係を期間ごとに見直したい定期借家再契約するかを満了時に改めて決められる
長く住んでもらい、空室を減らしたい普通借家借主が安心して長く住める。募集もしやすい
家賃をできるだけ相場どおりにしたい普通借家定期借家は借主に不利な条件のため、家賃を相場より低めにすることがある

定期借家で失敗しないための実務チェック

  • 事前説明の書面を契約書と別に作り、借主の記名・受領を残す
  • 重要事項説明書にも定期借家であることを記載する(宅建業法第35条)※4
  • 期間満了の1年前〜6か月前に終了通知を送る日をカレンダーに入れる
  • 再契約をする可能性があるなら、再契約の条件(家賃・費用)を早めに決めておく
  • 中途解約を認める場合は、予告の月数や違約金を特約で明確にする

MYHOUSING では、定期借家の契約書・事前説明書の作成から、期間満了前の終了通知、再契約の手続まで、管理の一環として対応しています。

よくある質問

今の普通借家を、定期借家に切り替えられますか?

貸主だけで切り替えることはできません。借主の合意を得て、改めて書面での契約と事前説明をしたうえで定期借家を結ぶ必要があります。契約の時期や内容によっては切替えに制限がある場合もあるため、個別に確認しましょう。

普通借家なら、家賃を滞納されても出て行ってもらえないのですか?

いいえ。家賃の滞納など借主の契約違反があり、信頼関係が壊れたといえる場合は、契約を解除できます。正当事由が必要なのは、貸主の都合で更新を拒んだり解約したりする場合です。

定期借家の期間が終わっても借主が退去しない場合は?

終了通知を期限内に行っていれば、期間満了で契約は終了しており、明渡しを求めることができます。話し合いで解決しない場合は、弁護士への相談や法的手続を検討します。

終了通知を忘れてしまったら?

期間1年以上の定期借家では、満了の6か月前を過ぎていても、通知した日から6か月を経過すれば終了を主張できます。満了日を過ぎてから気づいた場合も、すぐに通知しましょう。※1

1年未満の定期借家はできますか?

できます。定期借家には「1年未満は期間の定めがない契約とみなす」という規定(第29条第1項)が適用されません。期間1年未満の場合、終了通知は不要です。※1

更新料は受け取れますか?

普通借家では、契約書に金額を明記し、高額すぎなければ有効とされています(最高裁判所2011年7月15日判決)。定期借家は更新がないため更新料はなく、再契約の手数料などは当事者の約定で決めます。

物件の貸し方の相談は MYHOUSING へ

MYHOUSING は東京・池袋の不動産会社です。普通借家・定期借家のどちらが合うかのご相談から、入居者募集、契約書類の作成、毎月の管理と精算まで、日本語・中文・English で対応します。海外にお住まいのオーナー様もお気軽にご相談ください。

出典(公的情報)

※本記事は一般的な情報です。個別の契約や紛争については、契約書の内容を確認のうえ、弁護士などの専門家にご相談ください。(情報確認日:2026年11月2日)

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